【SDGS 12:つくる責任つかう責任】指導アイディア展開案ーわたしたちの食品ロスについて考えてみよう
対象:小学校高学年
わたしたちの食品ロスについて考えてみよう
執筆/山口日出夏
(環境政策学博士 環境教育NPO・Blueggs Environmental Education代表 『小5 算数・社会・理科でSDGsがわかる!考える力をきたえるワーク』著者)
編集委員/岡本健
(公益財団法人)海外子女教育振興財団(JOES)教育アドバイザー 大阪府公立小学校・オハイオ州コロンバス補習授業校元校長)
目次
「食品ロス」とは、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品のことをいいます。
日本では、年間464万トン(2023年度)もの食品ロスが出ており、これは1人あたり1日約100グラムの食べ物をムダにしていることになります。
家庭で出る食品ロスは、主に3つに分けられます:
1.食べ残し:食卓に出したものの、食べきれずに捨てられたもの
2.直接廃棄:賞味期限切れなどで、手をつけずにそのまま捨てられたもの
3.過剰除去:野菜の皮などをむくときに、食べられる部分までむいてしまうこと
食品ロスの問題は「もったいない」だけではありません。次のような大きな影響があります。
•食品ロスによる経済損失は4兆円
•食品を作るには、水・エネルギー・土地などのさまざま資源が必要です。食品ロスは、これらの資源をムダにすることになります。日本の食品自給率は約6割と低く、多くを海外からの輸入に頼っているため、海外の資源までムダにしていることになります。
•日本では生ごみを焼却処理しているため、食品ロスを燃やすことで二酸化炭素が発生し、地球温暖化の原因にもなっています。
•世界には貧困や飢えに苦しむ人が7億人以上いるとされている中、日本の食品ロスは、約460万人分の食事に相当します。世界ではなんと10億人分にもなります。水不足によって将来の食料生産が難しくなることも心配されています。
SDGsの12番目の目標「つくる責任つかう責任」では、食品ロスを減らすことが重要な目標の一つです。食品ロスを通してわたしたちの社会のあり方について考えていく必要があります。
1.食品ロス問題について理解する (知識・技能)
2.社会の課題を読み解き、実践的に考える力を身につけられるようにする (思考・判断・表現)
3.環境にやさしい社会の構築について、自分なりの考えを持てるようにする(主体的に学習に取り組む態度)
【関連している算数と社会科の単元】
算数:小数の倍(小5)
社会科:食料生産(小5)
【2時間用】
【2時間用】
1)プリント(『算数•社会•理科でSDGsがわかる!考える力をきたえるワーク』24ページ 2025年最新版)
下の印刷用のアイコンを押すとPDFが表示されます。ご自由に印刷してご利用いただけます
タブレットでの学習や、教室でモニターに映すのに適したフォーマットになっています。
<こちら>よりご利用ください
2)ワークシート
3)動画 (4分45秒)

みなさんは、レストランなどでお腹が空いていたので「食べられる」と思って注文したけど、結局食べきれなくて残してしまったことはありませんか?この子もカレーが食べきれませんでした。
こうして残ったごはんは、まだ食べられるのに捨てられてしまいます。
このように、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品のことを「食品ロス」と言います。
家庭から出る食品ロスには、大きく3つに分かれます。

まずは、さっき出てきた「食べきれずに捨てられる食べ残しの食品ロス」。そして、「買いすぎたりして、物が悪くなってしまい、食べきれずにそのまま捨てられる食品ロス」。
さらに、「野菜の皮などをむくときに、食べられる部分までむいてしまって、ムダに捨てられてしまう食品ロス」があります。
みなさんも思い当たることはありませんか?

日本での1年間の食品ロスは、464万トンあります。
464万トンと言われてもピンとこない人も多いと思うので、ここでクイズです。
🍙クイズ
日本の毎日の食品ロスの量は、おにぎりにすると何個分だと思いますか?
1)100万個 2)1000万個 3)1億個
答えは……3)1億個でした!
どうですか?
毎日おにぎり1億個分の食品ロス、思ったより多かったですか?それとも少なかったですか?
では、食品ロスを出すことはどうして問題なのでしょうか?
まず最初に、食品ロスを出すことで大切な資源をムダにしている問題があります。

食べものを作るには、野菜やお米などの農作物を育てたり、工場で加工したり、お店やみんなの家まで運んだりするのに、たくさんのエネルギーや水などの資源が使われています。
だから、まだ食べられるのにすててしまうと、食べものだけでなく、それを作るために使われた大切な資源もムダになってしまいます。
そして、お金のムダの問題があります。

1年間の食品ロスをお金に換算すると、実は4兆円ものお金になります。
つまり、私たちは毎年、4兆円もの大金をムダに捨ててしまっているということになります。
また、二酸化炭素の問題もあります。

日本では生ごみをごみ焼却場で燃やして処理しているため、食品ロスを燃やすことで二酸化炭素が発生し、地球温暖化の原因にもなっています。
そして最後に、困っている人を助けにくくする問題です。

日本で出る食品ロスは、なんと約460万人分の食事にあたります。
つまり、もしこの食品がムダにならなければ、460万人がごはんを食べられるということです。
そして、これは日本だけの話ではありません。
世界では、10億人分もの食べものがすてられています。
その一方で、世界には7億人以上の人が十分に食べられず、飢えに苦しんでいます。
つまり、本当は助けられるはずの人がたくさんいるのに、食べものが届いていないのです。
このように、食品ロスを出すことで、たくさんの大きな問題が発生してしまっているのです。

【参考文献】
消費者庁 (別添2)食品ロスによる経済損失及び温室効果ガス排出量の推計結果
ユニセフ 2024 年 7 月 25 日「世界の飢餓人口、3年連続で高止まり: 国連報告書」
UNEP 27 Mar 2024 「Press Release :World squanders over 1 billion meals a day – UN report」
2025年7月26日にアメリカの補習校で5、6年生合同で、この展開案を利用した授業を行いました。動画用にカメラを回していましたが、なんとマイクがオフになっており、全く音声が入っていませんでした。子どもたちから活発な意見がたくさん出ていたのに、動画にてその様子を伝えることができずにとても残念ですが、今回は静止画像と文章でSDGs授業の内容をご紹介します。
指導者:山口日出夏(『算数・社会・理科でSDGsがわかる!』著者)
生徒数:七名
【場面1】導入
SDGsの目標について説明後、いくつかの質問を通して学習の見通しを持ちます。

指導者:(りんごを取り出し)みんな食品ロスって聞いたことある?
指導者:食品ロスとはまだ食べられるのに捨てられてしまう食品のこと、つまり、魚の骨とか食べられないところは食品ロスにはなりません。では、このりんごをどうしたら食品ロスになると思いますか?

生徒:そのまま捨てる〜
生徒:くさったら捨てる
生徒:遊んで切って、食べないで捨てちゃうとか
指導者:家庭から出る食品ロスには、大きく分けて3種類あって、1)買いすぎで捨てちゃうもの、2)食べ始めたけど途中お腹いっぱいと食べ残して捨てちゃうもの、3)皮をむきすぎて食べられるところまで捨てちゃうもののがあります。みんなはそうやって捨てちゃったことはありますか?
生徒:ある!ジュースを飲んでて、明日また飲もうと残したんだけど結局飲まなくて捨てちゃった〜
生徒:キャベツを使いきれずに捨てちゃった〜
指導者:現地校(アメリカの学校)とかでも食品ロスを見ることある?
生徒:現地校はすごい。カフェテリアでのランチ、ほとんど食べないで捨てちゃう子もいる
生徒:ピザの耳とかも食べないで捨てちゃってる
生徒:捨てちゃうなら、僕がもらいたいってよく思う。でもコロナの後から、友達のもらっちゃいけないことになった
生徒:うちの学校もダメなんだけど、わたしは、仲良い友だちが残したのはもらっちゃってる(笑)

【場面2】展開ープリント
食品ロスについてのデータが載ったプリントを使って、算数の力を使って、費用にして年間どれくらいの食品ロスがあるのか、またどんな食品ロスが多いのかを学習していきます。

指導者:問1で、家庭から1年間に平均どれくらいのお金がムダになっているってわかった?
全員:6万円!
指導者:どう、これは多いと思う?少ないと思う?
全員:多い!

指導者:そうだよね、6万円ゴミ箱に捨てちゃってることになってるんだもんね、かなりもったいないよね
指導者:では問2から、買いすぎでムダにしちゃってるお金は、皮をむきすぎちゃってムダにしているお金の何倍ってわかった?
全員:4倍!
指導者:買いすぎでムダにしちゃってる量が多いってことですね。買いすぎちゃったことある?
生徒:ハロウィンのTrick or treatersに配るお菓子をたくさん買いすぎちゃったことがある!
指導者:お菓子をたくさん買いすぎちゃって食べきれずに捨てちゃったんだね
生徒:いや、全部食べた〜!
全員:笑

指導者:そっか、じゃぁ食品ロスを出さなかったんだね!
【場面3】展開ー動画
1)3種類の食品ロス2)食品ロスの大きさ3)食品ロスを出すことで引き起こされる4つの問題について、動画で学習します

指導者:「日本の1年間の食品ロスの量はおにぎり何個分ですか」というクイズがあったけれど、1)100万個、2)1000万個、3)1億個のどれだと思う?
生徒:2)1000万個か3)1億個だと思う
指導者:答えは1億個でした。この数聞いて、多いと思う?少ないと思う?
多いと思った人?

指導者:少ないと思った人?

生徒:意外に少なかった。1兆個とかだと思った
【場面4】1時間目のまとめ

指導者:この時間では、プリントのデータから、わたしたちは食毎年6万円ほどの食品をムダに捨ててしまっていて、買いすぎや食べ残しによって生み出される食品ロスが多いことがわかりました。そして動画からは食品ロスを出すことで引き起こされる問題について学習しました。次の時間には、動画でどんなことをいっていたのかをまとめて、その後みんなで話し合いをして、食品ロスについてさらにに考えてみたいと思います
【場面5】2時間目開始ー展開ー動画の復習とプリント問4
穴埋め形式で、動画で学習したことをふりかえります

指導者:食品ロスの3つの種類、なんだったか覚えてる?

生徒:はい!1)食べ残し2)買いすぎ3)皮を厚くむきすぎ

指導者:では日本の食品ロスの大きさ、何万トンって言ってた?

生徒:たしか464万トン
指導者:その通りです!よく見てたね!

指導者:じゃぁ食品ロスが引き起こす4つの問題はなんだったかな?

生徒:資源のむだ問題
生徒:お金のムダ問題
生徒:二酸化炭素問題
生徒:他の人を助けにくくする問題

指導者:1年間に日本が食品ロスでムダにしているお金が4兆円とあったけど、大きすぎて先生にはよくわからない額だけど、どうこの額?
生徒:もったいない
生徒:そのお金があったら大きい家に住めそう!
生徒:フィンランドに土地が買えそう!
生徒:高級なスニーカーが何足か買えそう!マイケルジョーダンとかが実際にはいたスニーカー!
指導者:4兆円で何足かしか買えないか(笑)それは随分と高級なスニーカーだね!

指導者:さっきのプリントで問4を解き忘れてました。「問4)家庭での食品ロスを減らす利点として、よりふさわしいのはどちらだと思いますか。A.むだにしているお金が減り、食品をより多く買えるようになる B.食品のゴミが減り、食費も安くなる」AとBのどちらだと思いますか?
生徒:う〜ん、ちょっと待って、考える
指導者:Aだと思う人?
指導者:Bだと思う人?

【場面6】話し合い
自分がコンビニの店長さんだったと仮定して、店の売れ残り食品をどうするかを考えます。ワークシートを使って最初は各々で考え、その後班に分かれて話し合い、最後に発表していきます


【店の売れ残り食品をどうするか案】
⚫︎ 安くする/パンとかを50%オフにする
⚫︎ 寄付する/ちゃんとしたご飯を毎日食べれない人たちに寄付する
⚫︎ 近所の人(友人など)にあげる
⚫︎ 自分で食べる
⚫︎ 働いている人(バイトの人)にあげる
理由:くさる前に食べれるものが捨てられるなら、コンビニで働く人に分けてあげたりしたら、働く人は食費が安くなるし、店長は食品ロスが少なくなるから、どちらうれしいと思います
⚫︎ フルーツはスムージーとかにして、働いている人へのごほうびにする
⚫︎ 冷凍しておく
理由:唐揚げとかだと食べられるのがはやいから、冷凍したり他のものも冷凍しておく
⚫︎売れ残っている食品を〇〇円買ったら景品が当たるようにする
⚫︎1日の売り上げや、今はやっているものを調べて、それに合わせて作ったり売ったりすれば、よく売れるものと売れないものがわかっている、何を多めに売って、何を少なめに売ればいいかわかるから、食品ロスが減ると思うし、新しいもの、食品を入荷するときにも役立つ
⚫︎売れ残り食品のポスターなどを作り、お客さんが見やすいところにおく→買いたくなる(宣伝)
次に班に分かれて、各コンビニの取り組みについての話し合いをします。





各チームの発表に移ります
【チームA】
コンビニ名:「ラッキー22」
ラッキー22の食品ロスをなくすためのプラン
1)売れそ残りそうなものを割引セールにしたり割引クーポンを配る
2)2週間に1回、18才未満の困っている人に売れ残りの商品を寄付する




【チームB】
コンビニ名:「ミニイオンフードマート」
ミニイオンフードマートの食品ロスをなくすためのプラン
1)消費期限の近い食品を買ったらガチャ無料
2)消費期限の近い食品を買うと何かの券をもらえる




【場面7】ふりかえり
2時間で授業の振り返りをします。感想や学んだこと、これからしてみたいことなど各々書いてもらいました
⚫︎ ゴミをへらすことはむずしいと思っていたけれど、あんまりむずかしくないと感じてきた。これからはりんごを限界まで食べたり、すきじゃないからと捨てたりしない
⚫︎ ぼくは今日まで食品ロスは464万トンあるとは知りませんでした。食品ロスになるといろいろ問題が起こることも知りませんでした
⚫︎ 賞味期限が切れそうなもの優先で、ものを食べるようにしたい
⚫︎ この授業を受けて、SDGsで食品ロスを減らすのは個人個人の努力から始まって、行動を一つ変えることから少しでも減らすことができることがわかりました
⚫︎ これからは現地校のランチをなるべく残さずに食べるようにしたい。4兆円ものお金がむだになっていると知って驚いた。もう資源をムダにしたくない、そして地球の平均温度をこれ以上上げたくない!と思った!
⚫︎ 今日の授業では食品ロスを減らすことについて話し合いました。毎年、1家族は6万円もムダにしていることにとてもびっくりしたので、これから最後までちゃんときちんと責任持って食べ残しをやめたいと思います
⚫︎ SDGsのことについて聞けてよかったです。もしいつかコンビニとかでバイトしたりするときは、このことを思い出して、何かに活かせたらいいと思います
指導者:地球の未来は、私たち一人ひとりにかかっています。これからも、自分にできることを考え、行動し続けてください

他の指導アイディアをご覧になりたい方は→こちらよりご覧ください
授業の展開案はこのワークを元に作成されています











牛山泉名誉教授(日本の風力発電の父/足利大学前理事・名誉教授)
この「算数・社会・理科でSDGsがわかる!考える力をきたえるワーク」は、皆さんの身の回りの社会の様々な問題を算数や社会あるいは理科の力を借りてわかり易く整理し、皆さんの考える力を引きだしてくれるように工夫されています。どれも最新のトピックスで私も「そうか、知らなかったな」とか「なるほど、そうなのか」と思わされ、クイズ感覚で納得すると同時に新たな好奇心も掻き立てられてきました。
岡本 健先生(海外子女教育振興財団 教育アドバイザー/米オハイオ州コロンバス補習授業校元校長)
ワークに取り組むと、生活を見つめ直し、自分に出来ることを考える行動化に繋がることが期待できます。例えば、地球温暖化は、異常気象、電力逼迫、農作物の不作等、ニュースで見聞きする事をワークの問題を解きながら、数値を導き出したり、表やグラフを読み取ったりして実感を伴った、より切実な自分事として認識されます。社会・世界と関わる一歩となることが、このワークの価値であり、魅力です。
(大阪府内の小学校教諭)
すべての問題に、指導ガイドと解説動画が用意されていて、教職経験の浅い教員にもベテラン教員にもお勧めです。指導ガイドには、個々の教科のねらい、SDGsや教科横断の目標が書かれ、授業形式で問題に取り組むことができ、補足の説明や参考資料は、学習集団の知的興味をより高めながら、学習のゴールに到達できるようになっています。解説動画は、学校での一斉指導や、宿題、オンライン学習に活用できます。多彩な学習形態&多様な学習活動を効率よく展開できる教材です。
(神奈川県内の小学校教諭)
問題は見開き1ページになっていて、何をどれだけやればいいか子どもも教師も見通しをもちやすい。そして、すべて今日的な教育課題が取り上げられ、次代を担う子どもたちには不可欠なテーマばかりです。また、答えを導き出すのに四則計算の力だけでなく、問題文と様々な表やグラフなどの資料を読み解く力が必要です。全国学力・学習状況調査でも指摘されている資料活用能力が身につき、学力の三要素が育まれることが期待できます。

算数、理科、社会とSDGsを教科横断的な観点から学習できる教材になっており、日本の自然環境、工業生産、環境問題について分かりやすく学習できます。充実した解説と指導ガイドがあり、教師も子どもたちも使いやすい教材になっています。練習問題では、データや図から読み取る問題があり、子どもたちの計算力、資料を読み取る力を育むことができます。単元ごとに解説動画がついており、興味のある単元をご家庭でも学習できるので、子どもたちの主体的な学習にも期待できます。
学校や図書館でのご利用を考えている方はぜひご連絡ください。献本いたします。





































