【SDGS13:気候変動に具体的な対策を】指導アイディア展開案ー食料生産編
対象:小学校高学年
地球温暖化がわたしたちの食料生産にどう影響しているのかについて考えてみよう
執筆/山口日出夏
(環境政策学博士 環境教育NPO・Blueggs Environmental Education代表 『小5 算数・社会・理科でSDGsがわかる!考える力をきたえるワーク』著者)
編集委員/岡本健
(公益財団法人)海外子女教育振興財団(JOES)教育アドバイザー 大阪府公立小学校・オハイオ州コロンバス補習授業校元校長)
目次
地球温暖化によって世界の平均気温が上昇している。2023年と2024年の夏(6〜8月)は、1951〜80年の世界平均気温を1.25℃上回り、観測史上最も高い夏となった。日本でも2023年と2024年の夏は例年より1.76℃暑い夏となり、福岡県太宰府市では猛暑日が40日間連続して日本歴代最長を記録するなど、厳しい暑さが長期間続いた。こうした地球温暖化により、気候の変動に影響を受けやすい農業では深刻な打撃を受けている。特に、水稲やリンゴ、ぶどう、みかんなどは収穫量が減少したり品質が低下したりと顕著な影響が出ている。
日本では過去100年で年平均気温が1.35℃上昇している。地球温暖化がさらに進んだときのことを考え、地球温暖化による被害を軽減し、気温上昇に適応していくための取組(適応策)が必要不可欠になっている。

1.地球温暖化によって農業が直面している問題について理解する (知識・技能)
2.社会の課題を読み解き、実践的に考える力を身につけられるようにする (思考・判断・表現)
3.地球温暖化への適応策と環境にやさしい社会の構築について、自分なりの考えを持てるようにする(主体的に学習に取り組む態度)
【関連している算数と社会科の単元】
算数:割合(小5)
社会科:食料生産(小5)
2時間用
1)プリント(『算数•社会•理科でSDGsがわかる!考える力をきたえるワーク』26ページ 最新版)
タブレットでの学習や、教室でモニターに映すのに適したフォーマットになっています。
<こちら>よりご利用ください
2)動画
【動画1】(3分53秒)
2023年と2024年の夏はとても暑い日が続きました。最高気温が30℃を超える日を真夏日、35℃を超える日を猛暑日と呼び、福岡県の太宰府市では62日間も猛暑日があり、過去最多記録となりました。日本では40℃を超えるのは非常にまれなのですが、近年ではそういった地域も出てきて、40℃を超える日は酷暑日と名前がつけられるようになりました。そして2023年と2024年の夏は、40度越えなどの観測史上最高の気温を記録した地域を多く出し、この125年間で最も平均気温が高い、暑い夏となりました。
こうした気温の上昇の原因の一つに地球温暖化があります。皆さんは地球温暖化がどうして起きているか知っていますか?
ここではまず最初に、地球と気温の関係を簡単に見てみたいと思います。私たちの地球は、「大気」という空気に覆われていて、酸素や二酸化炭素、窒素などに取り囲まれています。そして大気中の二酸化炭素などは地球にとってブランケットのような働きをしてくれています。みんな寒い時にブランケットを羽織ったら、体を暖かく保てますよね。それと同じ仕組みで、二酸化炭素などがあるおかげで、地球はブランケットを羽織ってるようになって、地球を快適な温度に保ってくれています。
もし地球に二酸化炭素がなくなってしまうと、地球の平均気温は「マイナス18度」になってしまうと言われています。そうなると、地球はものすごく寒いところになり、今とは違い生物が住めなくなる場所になってしまいます。でも逆に二酸化炭素が増えすぎてしまうと、ブランケットをたくさんかけすぎちゃったときみたいに、暑くなってしまいます。こうしたことが地球の平均気温を上昇させ、地球温暖化を引き起こしています。
この地球温暖化によって私たちの食料生産は大きな影響を受けています。例えば米作りでは、収穫量が低下して今までのようにお米が取れなくなったり、お米の品質が低下したりしています。これが正常なお米ですが、暑さのせいで米の成長が途中で止まり、中にすきまのある未熟な米ができてしまうような品質低下が数多く起きています。
また、りんごや葡萄には「日焼け」という問題が起きています。気温が高く、強い直射日光が果物に当たることで、表面の一部変色したり腐ったりする「日焼け」が多く発生しています。このことで見た目が悪くなり、商品価値が下がる問題が起きています。さらに、みかんでは、皮と中の実が分離してしまう、ふっぴという現象が起きていて、ふっぴになると皮が傷つきやすくなり、みかんが腐りやすくなったり味が悪くなったりする問題が起きています。
【動画2】(2分21秒)
地球温暖化によって気温が高くなることで多くの農作物が被害を受けています。そうした被害を減らそうと、さまざまな農家で取り組みが行われています。
例えば、暑さに弱い品種から、暑さに強い品種に品種改良がされています。暑さに強い米の品種は高温耐性品種と呼ばれ、日本には20以上の高温耐性品種があり、その中ではきぬむすめ、こしいぶき、つや姫などが特に多く生産されています。またリンゴやブドウに見られた日焼けにおいては、布の袋をかけたり、傘をつけたりして、高温や強い日差しから果物を守る取り組みが行われています。さらに、みかんのふっぴには農薬を使ってふっぴが起きないように取り組みが行われています。
こうした地球温暖化に対する農業の取り組みは、地球温暖化に対する適応策と呼ばれています。適応するとは変化に対応することです。例えば、アキラくんがこの家に住んでいて、毎日この道を通って学校に通っていたとします。でもある時この道を通れなくする工事が始まったとします。アキラくんはいつもの道が通れなくなって不便になりますが、このように道順を変えて変化に対応することができます。このように、農業でも、これから気温が高くなっても農作物がつくっていけるように、地球温暖化に適応しようとしています。
SDGsの13番目の目標「気候変動に具体的な対策を」では、それぞれの国で気候変動への対応をしていこうという目標が立てられています。農業における適応策は、この目標での大切な取り組みになっています。
アメリカの補習校の6年生のクラスで、この展開案(二時間用展開案)を活用したSDGsの授業が行われました。その様子を動画にまとめましたので、ぜひご覧ください。(2025年3月1日撮影)
【動画の再生スピードと画質の変え方】

[指導者に対するアンケートと回答】
1. 最初、SDGsの授業をすることについてどんなことを感じていましたか?
SDGsについての授業をしたことがなかったのと、私自身の知識がどこまで追いついているのかが不明確だったということもあり、指導する側の意図をうまく生徒たちに伝えられるかどうかが不安でした。
2. この展開案についてどう思いましたか?
奥が深い、というのが最初の印象です。指導時間や範囲が細かく提示されていることもあり、生徒に指導するときにどこに重点を置けば良いのかが分かりやすくまとめてあったと思います。小学生にも分かりやすい表現が使用されてはいたものの、中学生でも十分試す価値のある高度な学習内容だと思いました。
3. このSDGsの授業を行ったことについてなにか感想はありますか?
予習必須!ですね。今回は初めての試みだったということもあり、かなり緊張していたと思います。また、生徒から欲しい回答を引き出すのに少々手こずって、時間を遣い過ぎたような気もします。ビデオも簡潔で分かりやすく、大事なキーワードも把握しやすかったと思います。
他の指導アイディアをご覧になりたい方は→こちらよりご覧ください
授業の展開案はこのワークを元に作成されています











牛山泉名誉教授(日本の風力発電の父/足利大学前理事・名誉教授)
この「算数・社会・理科でSDGsがわかる!考える力をきたえるワーク」は、皆さんの身の回りの社会の様々な問題を算数や社会あるいは理科の力を借りてわかり易く整理し、皆さんの考える力を引きだしてくれるように工夫されています。どれも最新のトピックスで私も「そうか、知らなかったな」とか「なるほど、そうなのか」と思わされ、クイズ感覚で納得すると同時に新たな好奇心も掻き立てられてきました。
岡本 健先生(海外子女教育振興財団 教育アドバイザー/米オハイオ州コロンバス補習授業校元校長)
ワークに取り組むと、生活を見つめ直し、自分に出来ることを考える行動化に繋がることが期待できます。例えば、地球温暖化は、異常気象、電力逼迫、農作物の不作等、ニュースで見聞きする事をワークの問題を解きながら、数値を導き出したり、表やグラフを読み取ったりして実感を伴った、より切実な自分事として認識されます。社会・世界と関わる一歩となることが、このワークの価値であり、魅力です。
(大阪府内の小学校教諭)
すべての問題に、指導ガイドと解説動画が用意されていて、教職経験の浅い教員にもベテラン教員にもお勧めです。指導ガイドには、個々の教科のねらい、SDGsや教科横断の目標が書かれ、授業形式で問題に取り組むことができ、補足の説明や参考資料は、学習集団の知的興味をより高めながら、学習のゴールに到達できるようになっています。解説動画は、学校での一斉指導や、宿題、オンライン学習に活用できます。多彩な学習形態&多様な学習活動を効率よく展開できる教材です。
(神奈川県内の小学校教諭)
問題は見開き1ページになっていて、何をどれだけやればいいか子どもも教師も見通しをもちやすい。そして、すべて今日的な教育課題が取り上げられ、次代を担う子どもたちには不可欠なテーマばかりです。また、答えを導き出すのに四則計算の力だけでなく、問題文と様々な表やグラフなどの資料を読み解く力が必要です。全国学力・学習状況調査でも指摘されている資料活用能力が身につき、学力の三要素が育まれることが期待できます。

算数、理科、社会とSDGsを教科横断的な観点から学習できる教材になっており、日本の自然環境、工業生産、環境問題について分かりやすく学習できます。充実した解説と指導ガイドがあり、教師も子どもたちも使いやすい教材になっています。練習問題では、データや図から読み取る問題があり、子どもたちの計算力、資料を読み取る力を育むことができます。単元ごとに解説動画がついており、興味のある単元をご家庭でも学習できるので、子どもたちの主体的な学習にも期待できます。
学校や図書館でのご利用を考えている方はぜひご連絡ください。献本いたします。

























