【SDGS 11:住み続けられるまちづくりを】指導アイディア展開案ー自然災害に強いまちづくり編
対象:小学校高学年
「自然災害に強いまちづくり」について考えてみよう
執筆/山口日出夏
(環境政策学博士 環境教育NPO・Blueggs Environmental Education代表 『小5 算数・社会・理科でSDGsがわかる!考える力をきたえるワーク』著者)
編集委員/岡本健
(公益財団法人)海外子女教育振興財団(JOES)教育アドバイザー 大阪府公立小学校・オハイオ州コロンバス補習授業校元校長)
目次
日本の国土は、地形や気象などの自然条件から、地震や台風、豪雨、洪水、津波、土砂崩れ、火山噴火などの自然災害が発生しやすくなっている。そのため、これまで多くの自然災害に見舞われ、多くの命が犠牲となった。また、地震による建物の倒壊や津波の発生、台風による洪水や土砂崩れなどによって、道路や交通機関、電気、水道などのインフラが停止し、生活や経済、社会に深刻な影響を与えてきた。それに加えて、地球温暖化によって大雨の回数が増加し、それに伴って洪水や浸水、土砂災害などの自然災害のリスクが一層高まっていくと予測されている。

このような背景を踏まえ、SDGsの11番目の目標「住み続けられるまちづくりを」のもと、災害が発生しても被害を最小限に抑えるために、「自然災害に強いまちづくり」を進めることが重要視されている。今後の課題として、防災教育の推進、インフラの強化、避難計画の整備などが挙げられ、これらに対する取り組みが急務となっている。
1.自然災害の多い日本に住むわたしたちが直面している問題について理解する (知識・技能)
2.社会の課題を読み解き、実践的に考える力を身につけられるようにする (思考・判断・表現)
3.「自然災害に強いまちづくり」について、自分なりの考えを持てるようにする(主体的に学習に取り組む態度)
【関連している算数と社会科の単元】
算数:平均(小5)
社会科:自然災害(小5)
A【2時間用】
B【1時間用】
A【2時間用】
B【1時間用】

1)プリント(『算数•社会•理科でSDGsがわかる!考える力をきたえるワーク』50ページ)
タブレットでの学習や、教室でモニターに映すのに適したフォーマットになっています。
<こちら>よりご利用ください
2)動画(7分35秒)
日本の国土は、地形や気象などの自然条件から、地震や台風、大雨、洪水、津波、土砂崩れ、火山噴火などの自然災害が発生しやすくなっています。
この表は、2024年に起きた地震の数を震度別に表していますが、実は日本には1年間になんと3678回もの地震がありました。ほとんどが、揺れをあまり感じない震度1や2でしたが、家が激しく揺れ始める震度4以上の地震も100回以上もあり、日本には地震が本当に多く発生するということがよくわかります。
また日本列島は台風の進む方向にあるため、日本には台風が多くなっています。世界で発生する台風の約半分が日本列島に接近し、8個のうち1つは日本列島に上陸しています。
日本はこうした厳しい自然条件によって自然災害が多く発生しています。そしてそうした自然災害によって1年間に平均2兆円の被害を受けています。この額は、ドイツと比べると7倍、イギリスの10倍、韓国の25倍以上の大きさになっています。日本はひんぱんに発生する自然災害によって、他の国と比べて経済的にも大きな被害を受けています。
こうした自然災害からわたしたちの生活や社会を守るため、わたしたちは「自然災害に強いまちづくり」をする必要があります。例えば、これは沖縄に見られる住宅なのですが、沖縄には瓦屋根の一階建ての家で、家の周りに石の塀や木を配置した作りの家が多く見られます。こういった住宅はある自然災害から家を守るために作られています。なんの自然災害だと思いますか?答えは台風です。
沖縄県には毎年およそ8個の台風が接近し、台風がとても多いです。そのために台風による被害、特に強い風による被害をできるだけ受けないように工夫がされています。例えば、強い風に耐えられるように、家の周りを石垣で囲んで風が直接家に吹き付けないようにしたり、屋根が風で飛ばされないようにおもしとして瓦を使って、瓦も飛んでいかないように漆喰で塗り固めてしっかりと抑えています。2階建てでなく1階建てにしているもの、風が屋根の上を通過しやすくするためです。他に防風林を植えることで、家に吹き付ける風を和らげる工夫をしています。こういう風に家を作ることで、台風が発生しても、台風による被害を小さくすることができます。そうすることで台風という自然災害に強いまちをつくろうとしています。
こうした自然災害に強いまちづくりは、私たちの周りにたくさん見つけることができます。例えば、堤防もその一つです。ところで、堤防には防波堤と防潮堤と2種類あるのを知っていましたか?一つは陸の上にある堤防で、一つは海の中にある堤防です。どちらが防波堤で防潮堤でしょうか?
答えは、こっちが防潮堤で、こっちが防波堤でした。
波が陸に入ってこないように海沿いの岸につくるのが防潮堤で、沖からの荒い波を防ぐのが防波堤です。防潮堤も防波堤も、高波や津波などの災害に強いまちにするための工夫の一つです。
また地震に対しては、緊急地震速報が、地震に強い街づくりに役立っています。
地震が起きると、震源地の近くの地震計が地震波(地震は)をキャッチして地震が起きたことが瞬時にわかる仕組みになっています。そしてそのデータを元にしてどこでどれくらいの大きさの揺れが起きるかが、気象庁で瞬時に計算され、大きな揺れが始まる直前に住民に知らせることができるシステムが緊急地震速報です。
大きく揺れる前に地震があることを知らせてもらえるため、危険なところから離れて身を守ったり、電車のスピードを落としたり、工場などでは危険な機械を止めることなどができるため、地震における被害を小さくすることに役立っています。
また地震が発生して、電車が止まったり、道路が壊れたりすると、会社や学校などから家に帰ることが難しい帰宅難民、帰宅困難者がたくさんでてしまうことがあります。そうした人たちが、無理にでも家に帰ろうとすると、路上や駅にたくさんの人が集中してしまい、怪我や交通事故が起きてしまうことがあります。
そういったことが起きないように、「災害時帰宅支援ステーション」というところが街中に配置されていています。こういったマークのついたところは、災害時には一時的に身を寄せることができ、水やトイレを使ったり、災害情報を聞くことができ、帰宅難民となってしまった人たちが安全に迅速に家に帰れるように支援がされています。
日本はもともと自然災害の多い国ですが、地球温暖化によってこれから、大雨の降る回数が増え、そのことによって洪水や浸水、土砂災害などの自然災害がさらに増えると予測されています。
SDGsの11番目の目標、「住み続けられるまちづくりを」では、災害が起きても被害をなるべく小さく抑えられるように、自然災害に強い街づくりを進めています。災害に対する強さは、私たち一人一人の力もにかかってきています。自然災害に強い街づくりを進めるために、わたしたちにできることにはどんなことがあるでしょうか。
【動画の中の資料の出典】
気象庁(地震)
気象庁(台風)
アメリカの補習校の5年生のクラスで、この展開案(一時間用展開案)を活用したSDGsの授業が行われました。その様子を動画にまとめましたので、ぜひご覧ください。(2025年3月8日撮影)

【動画の再生スピードと画質の変え方】

[指導者に対するアンケートと回答】
1. 最初、SDGsの授業をすることについてどんなことを感じていましたか?
少し堅苦しい内容のように感じました。中々解決することが難しい問題も存在するためどのように授業を行うか考えていました。
2. この展開案についてどう思いましたか?
質問が分かりやすく生徒の質問理解も早かったと思います。他にも動画を用いることで視覚的に頭に情報を入れる学習ができて良いと思いました。他にも動画中に出題し、無意識に生徒の記憶に残るようになっているのは素晴らしいと思いました。課題や内容を事前に理解した上でさらなるアイデア共有を行える機会なので、生徒もアイデアを出しやすかったと思います。
3. このSDGsの授業を行ったことについてなにか感想はありますか?
難しい内容を簡単な身近な例に例えることや以前の学習に当てはめることで生徒が内容を簡潔に理解し、新たな意見を出せる授業であると感じました。
他の指導アイディアをご覧になりたい方は→こちらよりご覧ください
授業の展開案はこのワークを元に作成されています











牛山泉名誉教授(日本の風力発電の父/足利大学前理事・名誉教授)
この「算数・社会・理科でSDGsがわかる!考える力をきたえるワーク」は、皆さんの身の回りの社会の様々な問題を算数や社会あるいは理科の力を借りてわかり易く整理し、皆さんの考える力を引きだしてくれるように工夫されています。どれも最新のトピックスで私も「そうか、知らなかったな」とか「なるほど、そうなのか」と思わされ、クイズ感覚で納得すると同時に新たな好奇心も掻き立てられてきました。
岡本 健先生(海外子女教育振興財団 教育アドバイザー/米オハイオ州コロンバス補習授業校元校長)
ワークに取り組むと、生活を見つめ直し、自分に出来ることを考える行動化に繋がることが期待できます。例えば、地球温暖化は、異常気象、電力逼迫、農作物の不作等、ニュースで見聞きする事をワークの問題を解きながら、数値を導き出したり、表やグラフを読み取ったりして実感を伴った、より切実な自分事として認識されます。社会・世界と関わる一歩となることが、このワークの価値であり、魅力です。
(大阪府内の小学校教諭)
すべての問題に、指導ガイドと解説動画が用意されていて、教職経験の浅い教員にもベテラン教員にもお勧めです。指導ガイドには、個々の教科のねらい、SDGsや教科横断の目標が書かれ、授業形式で問題に取り組むことができ、補足の説明や参考資料は、学習集団の知的興味をより高めながら、学習のゴールに到達できるようになっています。解説動画は、学校での一斉指導や、宿題、オンライン学習に活用できます。多彩な学習形態&多様な学習活動を効率よく展開できる教材です。
(神奈川県内の小学校教諭)
問題は見開き1ページになっていて、何をどれだけやればいいか子どもも教師も見通しをもちやすい。そして、すべて今日的な教育課題が取り上げられ、次代を担う子どもたちには不可欠なテーマばかりです。また、答えを導き出すのに四則計算の力だけでなく、問題文と様々な表やグラフなどの資料を読み解く力が必要です。全国学力・学習状況調査でも指摘されている資料活用能力が身につき、学力の三要素が育まれることが期待できます。

算数、理科、社会とSDGsを教科横断的な観点から学習できる教材になっており、日本の自然環境、工業生産、環境問題について分かりやすく学習できます。充実した解説と指導ガイドがあり、教師も子どもたちも使いやすい教材になっています。練習問題では、データや図から読み取る問題があり、子どもたちの計算力、資料を読み取る力を育むことができます。単元ごとに解説動画がついており、興味のある単元をご家庭でも学習できるので、子どもたちの主体的な学習にも期待できます。
学校や図書館でのご利用を考えている方はぜひご連絡ください。献本いたします。




























